「バイオダイナミクスとは何か」Dr. Olixn Adams D.O.

オリーン・アダムスD.O. バイオダイナミクス・オステオパシー・セミナー
1. 開会の祈りと敬意
おはようございます。それでは、これよりバイオダイナミクス・オステオパシーのセミナーを始めます。本日は2回目になりますが、前回に引き続きオリーン・アダムス先生を迎えてお話をいただきたいと思います。とても貴重な機会ですので、皆さんもぜひ楽しんでご参加ください。それではオリーン先生、よろしくお願いします。
(オリーン先生)
では皆さん、まずちょっと目を閉じていただけますか。
最も深い愛を持って「生命の息吹(ブレス・オブ・ライフ)」を思いましょう。
オステオパシーに対して、そして諸先生方に対して。私は謙虚にブレス・オブ・ライフに対して頭を垂れます。あらゆる時代のあらゆる聖人と賢者に対してお辞儀をします。オステオパシー医学の先生たちにお辞儀をします。私の師であるドクター・ジェームズ・ジェラスにお辞儀をします。通訳にもお辞儀をします。そして、皆さん一人ひとりの中にある神聖に対しても、私は謙虚に頭を垂れます。
共に、よく学べますように。
私たちの間に不和がありませんように。
すべての利益のために学んでいけますように。
アーメン。おはようございます。また日本の皆さんとご一緒できて、とても嬉しく思っています。お招きいただきありがとうございます。
2. 深く学ぶことの重要性
日本の方は、すごくよく学んでくれますし、いつも良い質問をしてくれます。
ドクター・サザーランドがその著作の最初に書いている言葉があります。
「ピエリアの泉から深く水を飲みなさい。そうでなければ、全く飲むのはやめなさい」
つまり、知識というのは少しばかりある状態が一番危険なのです。「ピエリアの泉」とは知識を表しています。知識をもたらす生命の水です。知識を飲むのであれば、しっかりと取り入れなさいとサザーランドは言っています。
深く学びに入っていく必要があります。なぜなら、表層だけを学ぶのは実は危険なことだからです。日本の方は深く学んでいくのがすごく得意ですね。その学びをさらに進めるために、この東京スクール・オブ・オステオパシー(TSO)があります。この学校ができたこと、それがオステオパシーにもたらしてくれることを思うと、私もとてもワクワクします。
3. オステオパシーの発見
皆さん、ドクター・アンドリュー・テイラー・スティルは知っていますか? 名前を聞いたことがありますか?
ドクター・スティルは「オステオパシーを発見した」と言っています。オステオパシーは自分自身に対して「明かされた」ものであり、それを見出したのだと言っているのです。つまり、自分が作った(発明した)のではないということです。
1874年6月22日午前10時、自分の意識が明るい光に照らされたとドクターは言っています。そこで、オステオパシーの全体が明かされたのです。その一部ではなく、すべてが一瞬で明かされました。その瞬間、彼は解剖学、生理学、治癒に関するあらゆることすべてを理解したのです。
彼はその日を神聖な記念日とし、毎年6月22日は一人で過ごし、瞑想してブレス・オブ・ライフとコミュニケーションを取る日としていました。
4. 組織・流動体・ポテンシー
スティル博士は決してテクニックを教えませんでした。オステオパシーの土台はその「原理」にあります。ですから、オステオパシーを理解するためには、原理を理解していく必要があるのです。
スティル博士は最初、人を「物質(Matter)とマインド(Mind)と動き(Motion)」によって構成されたものとして見ていました。後にその言葉を「ボディ、マインド、スピリット(体、マインド、精神)」に言い換えています。
それからドクター・サザーランドが、私たちには「流動体(Fluid)」もあると言いました。スピリットは「ポテンシー(Potency)」、つまり潜在的な可能性として表現されているのだと。ですから彼は「組織(Tissue)」「流動体」「ポテンシー」として言い表しました。
ドクター・サザーランドの生徒たち(アラン・ベッカー、ルビー・デイ、ウェールズなど)がさらにその考えを進め、今私たちは「組織・流動体・ポテンシー」という言葉を使っています。バイオダイナミクスの授業でもこの言葉を使いますが、その元を辿ればスティル博士が言っていた「物質・マインド・動き」なのです。
バイオダイナミクス・オステオパシーは、長い歴史を持つ医師たちやヒーラーたちの系譜を持っています。
- 組織(体): 生体力学的な力(バイオメカニカルな力)。
- 流動体(マインド): 流動体を通してマインドが表現される。流動体の中には生物分子学的な力があります。
- ポテンシー: 生体電子的な力(バイオエレクトリックな力)。
スティル博士は、体とマインドとスピリットの中で最も重要なのが「マインド」であると言いました。だから私たちは、それに対応する「流動体」を非常に強調するのです。
5. 全体性(ホールネス)の原理
良いオステオパスであるためには、「組織」「流動体」「ポテンシー」を理解し、それらを感じることに対して楽な状態でいられる必要があります。
オステオパシーの教育において、流動体だけ、ポテンシーだけ、組織だけでは不十分です。それらすべてが必要であり、それこそが完全なオステオパシー教育です。特に流動体に注意を向けるのは、発生学的に見て流動体が組織をサポートしているからです。流動体は固まると組織のように感じられますが、それぞれのレベルに独自の言葉、コミュニケーション方法、作用の仕方があります。
そして私たちは「全体性(ホールネス)」の原理を大切にする必要があります。正常な健康状態であれば、組織、流動体、ポテンシーは「一つの物質」になっているからです。
病の状態にあるときは、これらが分かれ、異なる層になっています。ドクターは「私たちのスキルは、正常を感じる力にかかっている」と言いました。正常に近い状態とは、例えば生まれ立ての赤ちゃんや、賢者と呼ばれる人たちに見られます。組織、流動体、ポテンシーが一つの物質として機能し、一つの視点(フルクラム)から機能しているとき、私たちは正常に近い状態になります。
6. オステオパシーの基本原理
原理とは何でしょうか。原理とは「生命にとって欠かせないもの」であり、議論の余地がない「本質的な真理」です。
基本的な原理には「空気」「水」「食べ物」「シェルター(住まい)」が含まれます。
空気は生命にとって欠かせない原理です。空気がなければ生きることはできません。原理は物語のように時間をかけて姿を明らかにします。ですから私たちは生涯かけて学んでいくのです。
空気の原理から見れば、それは横隔膜を見ることにも繋がります。酸素を受け取り、それを行き渡らせることができるだろうか。健康の問題は、ほとんどの場合、こうした原理とのバランスが崩れることから起こります。
7. 第1次呼吸
私たちは胸郭で呼吸をしていますが、それとは別に「第1次呼吸」と呼んでいるものがあります。
肺を使った呼吸(胸郭呼吸)がある一方で、細胞も呼吸しており、フルボディ全体も呼吸しています。これが第1次呼吸です。
なぜ「第1次」かというと、こちらの方が重要だからというわけではなく、「先にあったから」です。胎児が子宮の中で成長しているときの呼吸は、胸郭呼吸ではなく第1次呼吸です。子宮の中でブレス・オブ・ライフが、この流動体の呼吸を生み出しています。
生まれてから始まる胸郭呼吸と、この第1次呼吸は同期している必要があります。究極的にはこの二つは一つのものであり、同じ視点から発しているからです。これが「全体性(ホールネス)」の理解へと繋がります。
8. 治療中に気づくべき3つのこと
私が治療を始めたとき、3つのことに注意を向けるよう言われました。
- 自律神経系(交感神経・副交感神経):交感神経が活性化しすぎている場合、私たちは急ぎすぎているのかもしれません。汗が出る、呼吸が荒くなる、脈が上がるなどのサインに注意します。治療中に交感神経のトーンが高まれば、全体性(ニュートラル)に向かえていないということです。
- 患者全体:足首を治療していても、肩のことを忘れてはいけません。理解が深まれば、それは肉体だけでなく流動体の体(フルイドボディ)や、さらに広い全体も含むようになります。
- 自分自身の意識(良心):自分の中には何が正しいかを知っている声があります。治療中、何かをしようとしたときに「いや、それはやらない方がいい」という声が聞こえたら、それに耳を傾けるべきです。この声は、私たちのハート(スピリチュアルなハート)の中心にあります。
この「自律神経」「患者全体」「自分の良心」の3つを想って、治療前に瞑想します。
9. 健康(ヘルス)を見つける
オステオパシーにおける最も重要な原理の一つが「ヘルス(健康)」です。
ドクター・スティルは言いました。
「病気を見つけることは誰にでもできる。だが真の医師は健康を見つけるのだ」
どの人の中にも、決して病むことのない、死ぬことのない完璧なものがあります。私たちの仕事は、患者さんの中にこの健康を見つけることです。健康はすべての人の中に見えるか、あるいは全く見えないか、そのどちらかです。全員の中にあるものだからです。
まずは「ヘルスは誰の中にもあるのだ」と思うことから始めてみてください。
10. 発生学とミッドライン
発生の初期、胚(はい)は流動体と原形質でできています。この胚に対してブレス・オブ・ライフが息を吹き込みます。その中心を私たちは「ミッドライン」と呼んでいます。このミッドラインに生命の息吹が吹き込まれることで、その後の創造のためのテンポとスペースが生まれます。
この「胚の息(Embryonic Breath)」は大人になっても存在します。胸郭呼吸と第1次呼吸が同じ視点から機能し、ミッドラインに入ってくるとき、素晴らしい感覚があります。ブレス・オブ・ライフは常に私たちを生み出し続けています。治癒が起こるのもそのためです。
11. ニュートラルの重要性
ブレス・オブ・ライフがその力を表現するためには「ニュートラル」である必要があります。体の一部が損傷してニュートラルを失うと、ブレス・オブ・ライフはそこを再創造できなくなります。ニュートラルになれる限り、あらゆる細胞や組織は常に生み出され続けます。
ニュートラルは、オステオパシーにおいて最も重要な原理の一つです。
12. ドクター・リトルジョンの教え
スティル博士の初期の生徒であるドクター・リトルジョンは、どの患者においても3つのことを調整すべきだと言いました。
- 生理機能(組織、流動体、ポテンシー)
- 食事
- 環境(人間関係、仕事、住まい、空気、水)
冷たい雨の中で路上生活をしている人に必要なのは、仙骨の調整ではなく、安全で温かい「シェルター」です。こうした基本的な原理を尊重することもオステオパシーなのです。
【質疑応答】
Q:胚の息(エンブリオニック・ブレス)を感じるときの具体的な感覚は?
動きが自分という存在の中心を通り抜けていく感覚、宙に浮かんでいるような感覚、広がっていく感覚、そして喜びと平和の感覚があります。自分の胸郭呼吸がニュートラルになり、オーシャン全体を動いてくる呼吸を感じると、自分自身よりも自分のことを知ってくれている「何か」が、温かく甘やかに中心を通り抜けていきます。
Q:オステオパシーの「ソフト」なアプローチとは?
「間接法(インダイレクト)」と「直接法(ダイレクト)」があります。間接法は楽な方向(ヘルスに近い方向)へ向かい、バリアに当てません。直接法はバリアを突き抜けるやり方です。間接法は楽な方向へ向かうことで自然にニュートラルを見つけ、ブレス・オブ・ライフの変容を促します。
Q:頭蓋の治療(クレニアル)の前に体の構造を整えるべきか?
オステオパシーは頭蓋骨だけを扱うものではなく、第1次呼吸とのコミュニケーションです。態度は常に優先順位を決めています。組織が必要な人もいれば、流動体が必要な人もいます。大いなる意図に従うことが大切です。
Q:特定のテクニックよりも大切なことは?
オステオパシーの核心はテクニックではなく「原理」です。具体的な手技はその瞬間ごとに患者さんに合わせて生まれてくるもので、それがアートです。大切なのは、自分が「態度(タイド)」についていくのか、自分で決めた治療を押し付けるのかという分岐点です。
Q:具体的に手で何を感じているのか?
手を使って診断し、そこにある治癒力と同期します。健康な肝臓、病んだ肝臓、生命力の感触、これらはすべて特定の感触があります。手で「見に行く」のではなく「耳を傾け、情報を受け取る」のです。
Q:自分自身の流動体(フルイドボディ)を感じるには?
患者さんの流動体を感じる前に、まず自分自身の流動体を感じる必要があります。私たちはそれを知覚するように作られています。自然界で時間を過ごし、水平線や日光、木々を感じることは、自分の流動体を目覚めさせる素晴らしい方法です。
Q:なぜ難病は根本治癒しない場合があるのか?
その答えは誰にも分かりません。しかし、態度は常に私たちを愛し、全体性(ホールネス)へと連れていこうとしています。私たちの仕事は治すことではなく、ブレス・オブ・ライフがその仕事を果たせるように促すことです。結果に執着せず、患者さんの中にある健康を見出し、共にいること自体が、患者さんが最も必要としている奉仕である場合もあります。
Q:楽な方向とは「楽をする」ことか?
「楽な方向」は必ずしも一時的な楽(らく)ではありません。真の事故(セルフ)やヘルスからやってくる、平和と幸福感が持続する方向のことです。それは外的な状況に左右されない、唯一の真の幸せの源です。
閉会のメッセージ
しばらく呼吸を感じる時間を取りましょう。
呼吸がやってきて、戻っていく静けさを感じてください。
そのままの自分でいいのです。何も付け加える必要はありません。
素晴らしい質問をありがとうございました。皆さんの1日が平和でありますように。
またお会いしましょう。ありがとうございました。
